9月入学のデメリット・メリットとは?気になる年収差

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転職サイトのビズリーチが、「英語のできる人はできない人より、年収が数百万高い」との決論を出したのです。英語を得意とする人材を生み出しやすいとされる「9月入学」。欧米や中国など、世界各国で採用されています。

この記事では「9月入学」についてメリットとデメリットをリサーチしました。

今、再び「9月入学」が叫ばれるワケ!

2020年、コロナ禍において、長い間授業を休んだ分を取り戻そうと、政府やさまざまなメディアで「9月入学」が取りざたされました。

とはいえ、父兄と学校側のすさまじい経費負担と社会の変革を促すような「9月入学」は、後からのべますが、やはり巨額なお金がかかるということで、いつの間にか立ち消えになりました。

今のところ、小・中・高・大生の帰国子女枠については、ある程度「9月入学」は確立しています。が、それぞれのステージ、例えば中学校などでは、帰国子女の枠は、有名高のみのようです・・・・

グローバル経済の中で、読者が思い描いている「9月入学」とは、英語をメインとした海外留学がスムーズにできるような、学校かもしれませんね。

リサーチしてみてわかったことですが、日本では、帰国子女と言っても、ダイレクトに「9月入学」には結びつかないようです。帰国子女枠でも、4月入学が多いのです。

次にいわゆる「9月入学」についてのデメリットとメリットを考えたいと思います。

「9月入学」の3つのデメリットとは?

①2020年の日経新聞が「9月入学」にした場合の試算を公表しました。

「学習期間が伸びた5ヶ月間の負担増加が、小中高大生の家庭で3.9兆円の負担になるとの金額を明らかにした」と。

この推計額を発表したとたん、2020年の「9月入学」のシュプレヒコールは急速にしぼんでいってしまったかのようでした。

②文科省が発表した資料の一部を抜き書きしますと、

「来年4月に入学する予定だった児童(約100万人)の就学が遅れてそれにかかる費用、就学予定者の一部(来年4~8月に6歳となる者、約40万人)が追加で入学し、この増員は卒業まで続く。

これらに関して、スペースや保育士、教員等が必要になり、それが確保できない場合、 待機児童が発生する。併せて、子育てや教育に対する支援機関の延長も必要となる」

ということです。膨大なお金がいるということなのです。

③学校の入学時期が変わりますと、変更になるのは会社の入社試験、入社時期などその影響は、社会全体に及びます。長い間続いてきたものを変更するというのは、非常に労力とお金が必要だということなのです。

以上、①②③のデメリットにより、「9月入学」にあまり現実味はないことが判明したのです。

では、次に日本が「9月入学」を実施するメリットにはどんなものがあるでしょうか?

「9月入学」の2つのメリットとは?

①でも、世界の潮流は、やはり9月入学です。例えば、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ベルギー、トルコ、モンゴル、ロシア、中国など、すべて9月入学。大国で9月入学でないのは、インドくらいです。

同じ時期に入学・卒業ですと、海外留学、海外での就職も楽になりますし、海外でのインターンシップもスケジュールの調整が上手くできます。海外と足並みがそろうということなのです。

②日本貿易推進機構(JETRO)の2022年のデータによりますと、日本の海外進出企業の今後の展開の方向性について、「拡大」とするものは、48.7%。

また、海外日本企業における営業成績において、アジア・オセアニアで、「黒字」と回答した企業は。63.8%、「横這い」が18.6%でした。

どうやら日本経済のグローバリゼーションの波はとどまることを知らないようです。

また、転職サイトのビズリーチの調べですと、個人の年収の差にもくっきりと現れています。

ちなみに年収は、ネイティブレベルが1,354万円、ビジネスレベルが1,174万円、日常会話レベルが1,037万円、英語を話さない人が976万円と、数百万円は違います

より豊かに生きると考えるなら、やはり子供のうちから英語に力を入れ、海外留学した方がよいかもしれません。

以上、①②のメリットが一般的に考えられていることです。

「9月入学」論議が起こった背景

この「9月入学」の論議がヒートアップしたのは、2020年の春。当時の日経新聞によれば、「9月入学は新型コロナウイルス感染拡大による休校で、大幅に不足する授業時間を確保する方策として浮上した」とあります。

日経新聞は、全国の知事たちのアンケート調査をもとに、「9月入学」にYESの論調を展開していったのです。

しかしながら、2020年の日経新聞が文科省の発表を報じたとたん、論調は変わっていったようです。「学習期間が伸びた5ヶ月間の負担増加が、小中高大生の家庭で3.9兆円の負担になるとの試算を明らかにした」。

この推計額を発表したとたん、「9月入学」のシュプレヒコールは急速にしぼんでいってしまったようです。

他にも様々な理由で「9月入学」案がしぼんでいったのですが、この家庭の負担が巨額だったのが、主な原因だったような気がします。

では、現在、大学の「9月入学」の実態はどうなっているか?について、次の章でお伝えしたいと 思います。

現在の大学における「9月入学」の実態

グローバリズムの波に遅れてはならないある種の大学、例えば名称に国際がつく大学や学部などは、9月入学枠があるのが一般的。9月入学は、増えているのです。

例えば、

・上智大学 国際教養学部 10月入学

・早稲田大学 国際教養学部 9月入学

・早稲田大学 商学部

・東京電機大学 情報環境学部

・慶応義塾大学 総合政策学部・環境情報学部

・桜美林大学

・立命館アジア太平洋大学など

インターネットの大学としては、

・サイバー大学

秋入学ではないけれど、9月から試験が始まるところは、

・国際基督教大学(ICU) ICU特別入学選考

 

国公立の9月入学は、帰国子女枠が存在します。

・東京大学(外国学校卒業生特別選考)

・京都大学(外国学校出身者特別選抜)

・一橋大学(外国学校出身者選抜)

など、一流大学は、ほとんど9月入学の枠を持っています。では、小・中・高はどうでしょうか?

現在の小・中・高においての「9月入学」の実態

①小学校については、かなりの数の帰国子女枠はあるようです。中には、日本人の英語教育に力を入れていて、帰国子女を積極的に受け入れている小学校があります。

・群馬国際アカデミー 国語を除くほとんどの教育を英語で行うのです。でも、インターナショナルスクールではありません。

・LCA国際小学校  1~5年生で若干欠員のある場合、随時募集。いわゆるインターナショナルスクールです。でも、普通のインターナショナルスクールとは違い、日本人のための学校です。ほとんどが、日本の児童です。

②中学校で帰国子女を受け入れている学校は60校以上。

塾も完備して、夏期講習をはじめとして、日本のお受験に備えるようになっているのです。

・跡見学園中学校 中学転・編入試験あり。

・明法中学校 中学転・編入試験あり

など全国の主な都市の中学校で、転・編入試験あり。

③高等学校は、都立でも竹早高校、都立三田、都立日野台高校などが帰国子女を積極的に受け入れています。

帰国子女枠受験で人気の高校ランキングは、東京都立国際高等学校、東京学芸大学付属高等学校。ちなみに国際高校では、帰国生対象入試を55人が受験、また、三田(普通)は、1.08倍。国際高校は1.3という倍率です。

以上,小・中・高生の帰国子女枠について、記しました。

有名高はやはり競争が激しいですが、探せば、それほど競争率が高くない学校もあります。

小学校の9月入学がダメだった理由は、ITCの普及

2020年、「9月入学」の論議が起こった時、ITCの普及が何よりも教育行政の優先課題として位置付けられていました。

元文科相大臣であった柴山昌彦議員は東洋経済のインタビューに答えて、こうハッキリ言っています。

「入学時期を後ろ倒しにすれば、教育機会の格差が埋まるのかも疑問だ。むしろ、ITC環境を未整備のままにする方が格差拡大を助長するのではないだろうか。教育に質の確保に向けて頑張っている皆さんの動きはとめてはならない」と。そう、ITCの充実は、国の最優先課題だったのです。

とはいえ、NTTドコモのモバイル社会研究所では、2022年5月11日、日本の小中学生のタブレットやパソコンの利用が約9割となったことを発表しました。

凄い数字の伸びです。日本は学校教育において、ほぼ完ぺきにITCを一般化させられたのです。

そうすると、お金がかかるといわれていたITCの普及が済み、あとは、移行期に家庭で3.9兆円ものお金がかかるといいわれている「9月入学」を実行するか、否かです。

でも、どうでしょうかね、一応英語を中心とする学校育が必要とされる帰国子女には、大体「9月入学」の機会が用意される状況になってしまったからです。

とはいえ、「知」のグローバリズムの波にこれ以上遅れて、いいものか?はなはだ疑問です。

 

まとめ 「9月入学」は議論し続ける必要がある

第1章で述べたように、現在の学校では、帰国子女さえ「9月入学」でない生徒がいるということなのです

問題は、すべての子供たちが、「9月入学」の恩恵を受けるべきかについての議論が必要となるでしょう。

将来的メリットは確かに大きいですが、お金がかかることであり、やはり変化による混乱を受けてしまう世代への対応が非常に難しいため、なかなか議論は進展しないようです

全国的な規模で教育事業を行っているベネッセは「9月入学」は議論し続ける必要があるという立場です。

なぜなら、ICT教育で教育の効率化や機会均等をはかり、さらなる高みであるグローバル教育を推進する必要があると考えるからのようです。

ただ、9月入学の移行に関しては、膨大なコストと事務手続き、家庭の経済的負担の問題があります。このことが解消されれば、「9月入学」の問題は解決されるかもしれません。

 

 

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