ファン付き作業着で風紀が乱れる?このままでは熱中症に!

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ファン付き作業着で風紀が乱れる?

日本列島では、夏の土用の日を迎え、連日猛暑の日々が続いています。
7月27日現在、大坂府の最高気温が39度を超える異常な暑さが原因で、熱中症や脱水症状による救急搬送事例が急増しています。
そのような中、26日のTwitterでは、「ファン付き作業着」というワードが注目されました。
ファン付き作業着とは、作業着に小さな扇風機のようなファンが付いていて、体内の熱を放出させ、クールダウンさせる便利な作業着のことで、屋外での作業や、エアコンのないような場所でも、涼しく感じられます。
猛暑の中での仕事道具として、必需品ともいえるものです。

しかし、そのファン付き作業について、弁護士ドットコムで、このような相談が寄せられました。
エアコンが無い倉庫で働いている従業員が、自腹でも良いからファン付き作業着の使用を上司に頼んだところ、「風紀が乱れる」という理由で、着用を禁止させられたという相談です。
熱中症対策では、塩飴のみが配られ、社員への不十分な対策がこの相談によって明らかになりました。

企業の熱中症対策への義務

うだるような猛暑の中でも、屋外での業務や、暑い場所での業務が必要となる場合があります。
労働契約法5条では、
「使用者に対し、従業員が安全かつ健康に労働できるよう配慮しなければならないとする」という配慮義務が定められています。
特に、暑さをしのげない場所での作業は、熱中症のリスクが高く、場合によっては、従業員の生死に関わることもあり、企業が従業員への熱中症対策を行うことは、当然この義務に当てはまります。

また、職場の対策が不十分で、従業員が熱中症や脱水症状になり、何らかの損害があった場合、企業の責任者や現場監督者は安全配慮義務違反にもとづいて損害賠償責任を課される可能性もあります。
また、厚生労働省では、「職場においての熱中症予防について」、
「熱を吸収し、又は保熱しやすい服装は避け、透湿性及び通気性の良い服装を着用させること。また、これらの機能を持つ身体を冷却する服の着用も望ましいこと」
「定期的な水分及び塩分の摂取の徹底を図ること」
と通達されています。

具体的には、企業の現場監督者や管理責任者は、従業員に対し、暑さをしのげない空
間や場所での作業には、ファン付き作業着の許可などの環境整備や、水分、塩分の補
給対策を行う必要があるということです。

労働基準監督署への相談

働く中で、明らかに労働基準法を超えた労働条件を強いられたり、また、労働者側に
とって不利な条件を提示されたりする場合は、労働基準監督署の相談窓口を利用するのも一つの方法です。
労働基準監督署では、労働関連法に詳しい職員が相談を受けてくれます。
企業や事業主が労働関連法に違反していないかを調べている職員が相談を受け付けているので、アドバイスや対策が有利に働くことがあります。
また、無料で相談が行えることも出来、さらに、相談内容の度合いによって、必要だと判断されれば、企業や事業主に指導や注意喚起が行われます。
従業員が明確な不利益を課せられている場合には、大きな助けになってくれます。
対応可能なトラブルと対応不可なトラブル

対応可能なトラブル

・賃金や、残業代が払われていない、給料が現物給付
・性別や思想信条による差別的な解雇
・休憩時間がない
・有給休暇を取得できない退職の際に違約金が引かれた
・労働災害による怪我、事故に対応してもらえない
などのトラブルには、相談に乗っていただけます。

対応不可なトラブル

・ハラスメント事案
・能力不足等による解雇
・部署異動や配置転換
・リストラや懲戒免職処分
などは、対応不可です。

まとめ

日本各地で、猛暑が襲っている中で、普段の生活ですら体調に支障をきたさないようにすることがなかなか難しいです。
暑さによる体調不良を訴える人が増加していますが、仕事をすることは、生活上欠かせないことです。
健康があって、初めて仕事が成り立つことの意識を持つ企業や事業主が増えていくことや、この暑さに応じた具体的な対策を講じる必要があるように思います。

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