2024自民党総裁選夫婦別姓と同性婚におけるリベラル度?10人の予定者Z世代&小泉と河野は?

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2024年8月26日、女性問題の第一人者で元東大教授の上野千鶴子氏は、X(旧ツイッター)上で「①夫婦別姓と②同性婚支持は今やリベラル度の分かりやすい指標。これで自民党総裁候補をチェックしてみると良い」と述べていました。

この鋭い指摘に私は納得し、9月12日の告示前に、自民党総裁選立候補を表明した10 人(記者会見をしていない人も含む)のリベラル度を調査しました。

選択的夫婦別姓と同性婚の支持は、現代日本社会における重要な課題であり、これらの問題に対する立場は、候補者の政治的スタンスを明確に示すものです

 議員に対する2つの質問とは?

選択的夫婦別姓とは?

上野千鶴子氏が言う「夫婦別姓」は、現在一般的には「選択的夫婦別姓」を指します。選択的夫婦別姓制度とは、夫婦が希望する場合に結婚後もそれぞれの姓を保持できる制度です。同姓を選ぶことももちろん可能です。

現在、夫婦同姓を義務付けている国は日本だけだそうです。

最高裁判所は、この制度の導入は国会で議論されるべきとしています。2023年6月には経団連も早期実現を求めています。この記事では、選択的夫婦別姓を支持する方を「リベラル」と分類します。

同性婚とは?

同性婚は、同性同士(男性と男性、女性と女性)が結婚することを指します。日本ではまだ認められていませんが、2022年にはGDPが10位以内の国の7カ国で認められています。2023年6月にはネパールでも最高裁によって認められました。

朝日新聞の世論調査によれば、同性婚を認めるべきだとする割合は72%に達し、2年前と比べて20%増加しています。この記事では、同性婚に賛成する方を「リベラル」と分類します。自民党支持者の54%も同性婚に賛成しています。

司法の判断では、同性婚を認めないのは違憲とされるケースが2件あります。パートナーシップ制度は日本の全人口の65%をカバーしていますが、相続や親権の問題は解決できていません。

このように、選択的夫婦別姓と同性婚に対する支持は、議員のリベラル度を測る重要な指標となります。

 調査発表。10人の総裁選出馬表明と模索中の人のリベラル度は?

公示前の9日現在、総裁選出馬予定者10名に対する、①と②の質問事項に対する文言を様々な媒体中からピックアップしました。(順不同)

石破茂氏

1 ,選択的夫婦別姓について、「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よくわからない理屈があるが、やらない理屈がよくわからない」「女性の権利も尊重しないといけないときに、(結婚後に)女性が姓を変える方が圧倒的に多い。

別姓でいけることを法的に担保するのは大事なこと」と述べています(2024年8月29日のBS-TBS番組より)。

2, 同性婚については、「色々問題があるなら社会の仕組みを変えるべき、法整備を進めるべき」と強調しています(2024年2月15日、Xにて)。

 小泉進次郎氏

1,選択的夫婦別姓について?

『これは今までと同じように同姓がいいという方は、同姓のままでいけるのです。別姓を選びたいという方には別姓という選択肢を用意します。家族の崩壊につながるとは、私は考えていません。

家族はさまざまですし、私は両親が離婚していますから、私と弟は苗字が違います。ですけれど、家族の絆が弱いと感じたことはありません』と笑顔で返答した。」(9月6日、「BSフジLIVEプライムニューズ」より)

2,同性婚について

同性婚について『賛成する』と答えたそう。「(子どもの)性的指向が同性だった場合どう思うか」と質問した。「打ち明けやすい親でありたいと思いますし、そういった社会を実現するために政治家として全力を尽くしたい」と答えた。(朝日新聞(2021/03/24))

高市早苗氏

1.選択的夫婦別姓について
『戸籍上のファミリーネーム、家族一体とした氏は残したい』と強調した。

高市氏は、旧姓が使えないことで生じる社会生活上の不便の解消については、自身が総務省時代に所轄する制度を変えたとして『住民票やマイナンバーカードに通称使用届けを出したら、婚姻前の氏も併記されるようになっている。

総務省に関わる法令を全部チェックして、あらゆる届け出、資格、制度、『旧氏の併記でOK』と1142の手続きを全部変えた」と述べ、「全部の役所が同じことをやってくれたら」と語った。(産経新聞/7/24より)

「選択的夫婦別姓制度は『慎重に議論を進めていくことが必要だ』と述べた(2023/2/9朝日新聞デジタル)

2,同性婚について

「予算委員会での高市氏は同性婚の法制化について、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立すると定める憲法24条に言及して『非常に難しい問題』と指摘。

また、LGBT 理解増進法が2023年6月に国会で成立したが、同年2月の時点では、『まだ、論点が残っている』と強調し、『性的指向、性自認に偏見はあってはならない。私は理解増進そのものには賛成だと』も述べた。(2023年2月9日朝日新聞デジタルより)

河野太郎氏

1,選択的夫婦別姓について 2,同性婚について

「報道各社のインタビューに答えて、同性婚と選択的夫婦別姓制度に賛成の意向を示した。『いずれも賛成だ。価値観が問われる問題は党議拘束をやめ、広く議論するのがいい』と話した」(2021年9月16日日本経済新聞電子版より)

林芳正氏

1,選択的夫婦別姓について?

『個人的には選択的夫婦別姓というのはあってもよいのかなと思っている」(2024年9月3日東京新聞Tokyo Web)

2,同性婚について

「林芳正官房長官は14日の記者会見で、同性婚を認めない法律の規定は違憲と判断した「札幌高裁判決をめぐり、『同性婚制度の導入は国民生活の基本にかかわる問題で、国民一人一人の家族観とも密接にかかわるものだと認識している」と述べ、慎重な立場を示した。『国民各層の意見や国会の議論の状況、同性婚に関する訴訟の動向などを引き続き注視する必要がある』とも語った」(2024年3月14日産経新聞)

茂木敏充氏

1,選択制夫婦別姓は?

「自民党の茂木敏充幹事長は26日、女性議員の増加を目指す超党派の勉強会に出席し、選択的夫婦別姓の導入に柔軟な姿勢を示した。野党議員に見解を問われ、『これから結婚する人がどういう制度がいいか決めていく。答えはおのずから明らかではないか』と述べた。

また、議席の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」導入に関しては『政党の自主的な取り組みで足りないならば、制度改革に踏み込まないといけない」と語った」(2023年7月26日 日本経済新聞電子版より)

2,同性婚について?

直接的な茂木氏の同性婚に関する言及はなかったようです。

でも、LGBT理解増進法案可決前の2023年2月7日(火)TBS テレビnews23で、茂木敏充自民党幹事長は『我が党においても引き続き(LGBT理解増進法案)提出に向け準備を進めたい」とのこと(同法案は6月に成立)。(2023年2月7日(火)TBS テレビnews23より)

 小林鷹之氏

1,選択的夫婦別姓について?

「今は旧姓の通称使用が相当程度、制度改正によって拡大しており、解消できるニーズはたくさんある」と選択的夫婦別姓については『慎重に、丁寧に進めた方がいい」と。

また、読売テレビの番組では「(兄弟姉妹で姓が)バラバラになってしまった時に、子どもたちの権利をどうとらえるのか。アンケートを取った時に、懸念している国民はたくさんいる。子供たちの選択肢、権利というものをしっかりと踏まえた上で議論を丁寧に進めていくべきではないか」と。(2024/08/24朝日新聞デジタルより)

2,同性婚について

AERAの記者が、小林氏に同性婚に反対の立場か?と尋ねたところ、

「賛成、反対という二分論ではなくて、一人一人の権利を守っていくことが重要だと思っています。それを実現するアプローチとして、例えばこれまでの日本の慣習をすべて無視して、いきなり社会を右から左へ、左から右へというのは、一般論としてはあまり良くないと思っています。目指す方向性は議論すればいいと思いますし、できるだけ少しずつ社会を変えていくと言いうスタンスです」(2024年9月4日AERAdot.より)

 上川陽子氏

1,選択的夫婦別姓について?

2007年~08年の少子化・男女共同参画担当相をつとめ、当時は自分のホームページで『私は選択的夫婦別姓について賛成で、そのため議員として活動してきた』。中略、2024年6月28日の記者会見で『広く国民全体に影響を与える。しっかり議論し、広い国民の理解を得る必要がある』と述べた。賛否を問われたが、明言はしなかった。」(2024年9月4日AERAdot.より)

2,同性婚について?

同性婚を制度として認めるべきと考えますか?

回答:非該当(2024年9月8日、毎日新聞のアンケートに答えて)

 野田聖子氏

1,選択的夫婦別姓について?

「自民党総裁選への立候補に意欲を示す野田聖子元総務相は29日、選択的夫婦別姓の実現に向け『遅きに失したと言われるが、ここから一気呵成に進めたい。待ったなしだ』と記者団に強調した。(2024年8月29日(共同通信)東京新聞)

2,同性婚について?

野田氏は『差別などを含め、こどもや家庭が抱える複合する課題にしっかりと支援していくことが重要』と述べ『婚姻をめぐる制度はさまざまな意見がある。議論を注視していきたい』と話すにとどめた。

また、こども家庭庁設置法案において、(中略)野田氏は『基本方針では、誰一人も取り残されず、抜け落ちることのない支援を掲げています』とし、『当然、LGBT当事者の子供も設置法案のこどもに含まれます』と明確に答弁した。」(2022/05/24 スポーツ報知より)

加藤勝信氏

①選択的夫婦別姓の制度導入に賛成ですか、反対ですか?

回答:非該当

2.同性婚を制度として認めるべきか?

回答:非該当(毎日新聞第49回衆院選アンケート調査より)

まとめ Z世代と小泉・河野氏の超リベラル度!

以上、10 名の自民党総裁選の立候補予定者のリベラル度をチェックしてみました。

高市早苗氏が総務相時代に「旧氏の併記でOK」と1142の手続きを変更したことには驚きました。

選択的夫婦別姓に関して、Z世代の4割が「選択的夫婦別姓になったら結婚したい」と回答しています(NIKKEI COMPASS)。

野田氏やアメリカ留学経験のある茂木氏、河野氏、小泉氏は選択的夫婦別姓を支持しています。選択的夫婦別姓に関しては、石破氏も含め、彼らはリベラルと言えるでしょう。

特に河野氏と小泉氏は同性婚についても明確に支持しており、Z世代の見解と一致しています。

NetViViのアンケート調査によると、10代20代の9割以上が「同性婚は認められるべき」と回答しています。

超リベラルなZ世代と自民党の保守的な立候補予定者の考え方には大きな違いがあります。若い有権者の意見をどこまで取り入れるかが課題です。

Z世代の9割が結婚に不安を感じており、理由として経済的理由が64.9%、子育ての不安が53.6%とされています(Yahooニュース)。

結婚したがらない若者が多い背景には、選択的夫婦別姓の法制化の遅れや経済的問題が大きく影響しています。

終り

 

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