メルカリやリサイクルショップは、「中古品」を売買の対象としています。英語で言うなら「リユース(中古品)」の取引です。現在、日本と米国でリユース市場が急速に成長しています。
この市場は右肩上がりに成長を遂げ、2022年には日本だけで3兆円弱の規模にまで達しました。これは、日本の国防予算の2分の1に相当します。
ここでは、成長著しいリユース市場の今後の動向について探っていきたいと思います。
リユース市場=中古市場が拡大するワケ?
今、メルカリなどのインターネットを通じて、モノを消費者同士で売ったり買ったりする人の割合が多くなっています。
また、コメ兵など中古のブランド品を目利きのプロが査定し、買い取り・販売をするビジネスが脚光を浴びています。
現在、リユース市場が熱い理由は2つ。
1つは日本の抱える経済問題。2つ目は環境問題に対する意識の高まりが挙げられます。
まず、経済問題についてですが・・・・
現在日本は30年間の長期にわたって景気が低迷しています。賃金は今年の春闘では上昇している企業が多いようです。しかしながら、物価高がこれに水をさしています。実質賃金が下がっているのです。ここ17カ月連続でマイナスです。
その防衛策として、持っている資産(箪笥の中にしまってあるバックや時計といったブランド品)を売って家計の足しにしようとする人々が大量に現れました。
また、新品を買わず中古品で我慢しようとする人々の割合も増えています。というわけで、中古市場が活況を呈しているのです。
第2にSDGsなど、環境問題意識の高まりです。
マイボトルを持ち歩く人がふえてきました。また、学生服のリユースが盛んになりました。
制服はゴミとして、捨てるのでは環境汚染を引き起こしますし、もったいないと消費者が考えるようになったのでしょう。
以上、経済的理由と環境問題に関する人々の意識が変化したことによって、使い捨て文化はやめて「リユース」の方向に社会が大きくシフトしているようです。
リユース市場はメルカリの参入でダイナミックな展開!
フリマアプリのネット販売が2013年にメルカリによって大々的に始まりました。また、デジタル化の波に乗りスマホを使って、中古品の売り買いが気軽にできるようになったのもリユース市場が巨大化した、大きな要因のようです。
メルカリの取引高は開業からわずか3年間の間に推定売上高が1,200億円まで達しました。(2016年経済産業省統計)
そのあおりでブックオフやハードオフが苦境に立たされたこともあったようですが、2013年の参入から約10年がたち、「既存店舗はハイリスクな商品を扱う方へ軸足を移したようです。これが棲み分け型業界構造へと変化」とメルカリの出現がリユース市場のダイナミックな展開をもたらしたと高知大学の森谷友哉氏。
現在、資源高による物価高を背景に割安な中古品に注目が集まっていることなどから、2025年には3兆5000億円規模の市場になると識者は予測しています。
リユース商品の売買に抵抗感がなくなった?
①中古品を買ったり売ったりするのに人々は心理的に抵抗感がなくなっているのも事実です。リコマース経済研究所の調べによれば、中古品に抵抗感がないと答えた人は2020年より9%も増加し、半数を超える人が抵抗感はないと答えています。
②10代の反応で特筆すべきは、「社会課題や環境に配慮した商品を購入する」と回答した人が4%もいたこと。
③消費に関する価値観としては、「長持ちする商品を購入する」と答える人が5%を超えたこと。
以上、アンケートの結果から浮かびあがってきた消費者像は、まったく新しい日本人のトレンドのようです。
アメリカや欧米のリユース事情は?
昨年は2億1,200万人(成人人口の82%以上)のアメリカ人が中古品を購入したといわれています。「昔ながらのフリーマーケットも地方都市では盛んです。僕はeBayで生活用品を売ったり買ったりしています」と語るニューヨーカーのアンソニー・アルバレツ氏。
また、2020年に半年間パリに住んでいた元大手新聞社勤務でファッションのイベント担当だった日本女性は「相変わらずフランス人は蚤の市が好きで、古いもモノに価値を見出しているようです。イケヤの現代的なキッチン家具の引き出しにはアンチックなコルクスクリューが置かれたりしていて、古いモノと現代的な家具のコラボが見事です!
私も蚤の市で上質のウールのオーバーを7千円で買いました」と話してくれました。
以上、リユースという中古品の利用や売買といったことは世界的な趨勢・トレンドといえるのかもしれません。
2023年のメルカリの売り上げは?
メルカリの国内流通額は25%増の7845億円(2021年6月期)。年間を通じた月間アクティブユーザー数は前期比12.0増の1954万人を超えました。
ここにきて、2023年は
- 円安
- 資源高
- ①②の影響で、人々の節約志向に拍車がかかっています。現在、スマートフォンの普及で、家にいながらフリーマーケットに参加できる時代が到来しているので、使っていない物や重複している物などをフリマアプリで出品しています。まさしくデジタル生活そのものです。
また、2023年の特徴として、中古品として購入する機会が増えたのは、「洋服・靴・かばん」と、45.9%の人が回答しています。
近所にリアルのリユース店があればその場で売買はできます。ピンポイントで商品を探すネットと違い、数万円する大型家電に関してはリアル店舗で実際見てから買った方が良いとする消費者が多いようです。
メルカリとリアル店舗の棲み分けはできているようです。
- メルカリなどの個人間の売買は3%
- AMAZONなどのECサイト4%
- リアル店舗6%
というのが、利用状況です。
実は日本のご家庭は宝の山!
日本は、不景気とは言われておりますが、毎年2兆円規模の新品ラグジェアリー製品が流通しています。
さらに、日本の家庭には総額15兆円規模のもう使わない製品が眠っていると言われています。
また、日本は昔、バブル期にはお金持ち国家でしたけれど、今も年に2兆円も新品を買う国民なのですから、まだ、お金持ちと言えるかもしれませんね?
まとめ リユース市場の将来性は?
この中古品市場、つまりリユース市場は、これからも発展し続けると思われます。
資本主義国の先輩であるアメリカでもリユース市場は、小売業の成長予測の2.4倍とされます。アメリカのリユース市場は、2031年までには3,250億ドルにまで成長するといわれています。日本円に換算すると、48兆円となります。物凄い成長率と規模の大きさです。
日本もアメリカのようにリユース市場は発展し続けると思われます。
なぜなら、前述したように中古品に対する意識や環境に対する意識の変化がものすごいスピードで変化をもたらしているからです。
もう、半数以上の国民が中古品には抵抗がないと答えています。日本の国民性が変わったようです。
以上、データを駆使し、この記事をなるたけ分かりやすく書き進めてまいりました。日本のリユース(中古)市場は、人々の意識変化とともに素晴らしいフェイズに到達しつつあります。日本もこのトレンドに乗り、持続可能な社会への一翼を担っていくことが期待されています。
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