「トラッド」とは、伝統的で流行に左右されないファッションのこと。大量生産・大量消費とは一味違ったいわば資源を大切にする、環境にやさしい、ファッションといえるでしょう!
また、最近のアパレルメーカー、例えばユニクロ、ラルフローレン等はそれぞれ独自に環境問題に取り組んでいます。
「トラッド」ファッションとは何か?
ファッション用語辞典によれば、「トラッド」とは英語で、トラディショナル〈スタイル〉のことを指します。特に米国東部の伝統的スタイルを言うことが多く、アメリカントラディショナルとも呼ばれます。
「トラッド」は機能的でスポーティーな感覚のオーソドックスなスタイルで質感にもこだわります。服装だけでなく、背景にある特有のライフスタイルを包含して使われることが多々あります。
アメリカントラディショナルの代表格は、ラルフローレン、ブルックスブラザーズ、J.Pressなど。
そして、アメリカントラディショナルの生みの親は英国の「トラッド」です。これをブリティッシュトラディショナルと呼びます。
代表的なものは、チャールズ英国王がふだん着ているスーツやコートがこれに当たります。テーラードジャケットは、しっかりとした肩パットが入っていて、ウエストを絞ったデザインが特徴です。
また、英国王室には、キャサリン皇太子妃のように10年前のコートを着回したりして、良質なものを長く着る習慣があります。
中でも、英国のバーバリーが生産しているコートは、100年以上も前から作られています。世界中で愛され、これぞまさしく伝統的なという意味で、「トラッド」です。
ブリティッシュトラディショナルのブランドは、バーバリー、ポールスミスなどです。
トラッドスタイルの有名人は?
長谷川博己、三宅健、矢作健、玉木宏など
トラッドスタイルは何種類ある?
トラッドスタイルには「ブリティッシュ・トラディショナル」と「アメリカントラディショナル」がります。
ブリティッシュ・トラディショナルは英国伝統のスタイルで、アメリカン・トラディショナルはブリティッシュトラディショナルがアメリカに渡ってカジュアルになったスタイルです。
日本のトラッドの歴史はVANから始まった
日本に本格的に「トラッド」ファッションが流行し始めたのは、1948年のVANの創立から。75年経過した今日に至るまで、VANは一貫してアメリカ東海岸のアイビーリーグの「トラッド」ファッションの普及に努めています。
60年代には、VANの発信する「アイビールック」「みゆき族」が日本で大々的に流行しました。
その後、様々なトラッドファッションの提言をして、今日に至っています。
ショップは大都市に多く、青山、日比谷、東武池袋、京王新宿、小田急町田、大丸東京、高島屋 Fashion Squareなどにあります。
ポピュラーな定番のロゴ入りTシャツ、トレーナー、パーカーなど懐かしい製品が揃っていて、根強い人気を物語っています。VANは健在です!
「バーバリー・ブルーレーベル」の後継ブランド
山陽商会は、「バーバリー・ブルーレーベル」の後継ブランドとして、ブルーレーベルクレストブリッジを立ち上げました。新たにバーバリーと契約したのです。
「英国らしさ」と「プレミアムベーシック」をキーワードにしたもので、今秋の季節の変わり目には、普遍的なトラッドアイテムである定番のジャケット(金ボタン付の紺色のブレザー 37,400円)をフォーカスしています。
本格的なバーバリーの製品にはちょっと手が出ないとお嘆きの女性には、ピッタリの商品が揃っています。
例えば、バーバリー風のアイコニックなトレンチコートは、(3way ツイル)は15%offで、55,000円というお買い得な価格帯。長く着られます。
「プレッピーでクリーンな正統派スタイルをベースにコレクションを提案する」と同ブランドでは宣言しています。
また、山陽商会は、資源の無駄遣いをなくそうと、「衣料回収キャンペーン活動」を行っているとのこと。
ユニクロのトラッドとは?英国のJW アンダーソン
6年目になるユニクロとJWアンダーソンのコラボについて、まずは2023年秋冬のファッションの内容をご紹介します。やはりブリティッシュトラッドの影響が色濃く出ていました。
ブリティシュテイストのダッフルコート(丈短め)の色はキャメル。同じ色のセーターとショートパンツで着こなす、上品なアイテムの数々。
また、トラッドのマストアイテムである紺ブレですが・・・・
秋冬用の紺色のブレザーは、ウールのような質感ですがポリエステルの素材です。ボトムスはアンクル丈の短めのデニム。このコーディネートがブリティッシュで超かわいい。
JWアンダーソンのファッションは英国生まれのデザインでユニクロという日本の素材と縫製技術を用い、現代的で洗練された「トラッド」ファッションに仕上がっています!
また、ユニクロは「素材工場環境プログラム」としてエネルギーの使用率を2020年までに10%削減する目標値を達成するなど、SDGsに対する取り組みに関しても、シリアスなアパレルメーカーです。
米国のラルフローレンは究極の環境保護!
米国の東部にあるアイビーリーグのファッションをモチーフに全世界で展開するラルフローレン。名だたるファッションブランドを抑えて、全米6位の売り上げを誇っています。
そんなアイビーリーグ(ハーバードやコロンビア大学と言ったエリート校)のファッションは、ケネディーカット(1960年代の大統領のケネディのヘアスタイル)とともに多くの人々に引き継がれてきました。伝統を重んじ、流行に左右されずに良いモノを長く着るというのがラルフローレンのブランドポリシー。
そんな伝統を重んじるアパレルメーカーが今、世界中で叫ばれている環境保護、とりわけ海洋プラスチックごみの問題に取り組んでいます。
2020年4月20日付のフィガロ誌の記事の中で、プラスチックボトル12本を使い1枚のアースポロ1着を製作するというプロジェクトが紹介されていました。
ラルフローレンのプロジェクトは埋立地と海洋から2025年までに、少なくとも1億7千万本のプラスチックボトルを除去しようとする壮大な試みなのです。
「私たちは海洋汚染の解決の一翼を担うとともに、革新的なアプローチによって何か価値のあるものを創造したい」と語るのはラルフローレン チーフ プロデューサー。
ラルフローレンは、環境保全(SDGs)を本格的に実践しているブランドです。
まとめ 環境にやさしい「トラッド」ファッション
トラッドは、長く着られて、保守的なアッパークラス(上流階級)のファッションとして、定着しています。
今回は、SDGs等の環境保全も含め、「トラッド」ファッションの最新の動きを中心として、お伝えしました。
- トラッドとは何か?
- 日本のトラッドの歴史
- バーバリー・ブルーレーベルの後継ブランド
- ユニクロがコラボした英国のトラッドデザイナー
- ラルフローレンの環境保護運動
の5つをピックアップし、「小ばなし」としてお届けしました。
トラッドとは、古いオワコン・ファッションではなく、新しいデザイナーを起用しながらSDGsにも配慮し、アップデートを繰り返す、きわめて現代的なファッションであることをお伝えしたかったのです。
そんなすぐにポイ捨てをしない、そして環境にやさしい「トラッド」ファッションはこれからも長く生き続けることでしょう。
コメント