楽天の三木谷氏が2010年、社内の公用語を英語に切り替える方針を打ち出してから、すでに14年以上が経過しました。英語公用語を宣言した2010年から楽天の売り上げ収益は、右肩上がりに成長。2023年度には開始時の約6倍の2兆円の大台を突破しました。
一方、「通じる英語」を武器に世界と交渉する代表例として語られるのが、ソフトバンクの孫正義氏です。トランプ大統領就任後、巨額な米投資をわずかな言葉で端的に伝えた姿は、多くのメディアが取り上げました。
英語学習媒体では、「孫氏の英語は、中学レベルの語彙が中心」「短く、平易で、分かりやすい」と評されることが多く、複雑な表現を避け、要点を端的に伝えることに徹しています。
この両者に共通するのは、難しい表現でなく、シンプルで明快な「伝わる英語」を実践している点です。現在、世界で約14億人が英語話者であり、そのうちネイティブ話者がわずか5%という時代において、グロービッシュやインド式英語が持つ「伝達力」こそが世界で主役になりつつあるのです。
本稿では、非ネイティブ向け学習法を楽天の平均点とされるTOEIC 830点という具体的な目標と結びつけ、グローバル企業への就職を目指す貴方のための具体的な学習戦略を解説します。
グロービッシュとは?世界共通語としてのシンプルな英語
グロービッシュとは、世界中で広く使われるシンプルな英語を指す造語で。「Global English」の略です。
この背景には、非ネイティブが主流となったこの時代において、「ネイティブ並みの発音や語彙はもう必要ない」という考え方に基づいています。
グロービッシュが提唱するのは、わずか1,500語の語彙に限定し、構文もシンプルにする学習法です。複雑な文法や発音にこだわる必要はなく、まずはとにかく相手に伝えることを最優先にするのが特徴です。
東洋経済のeビジネス新書でも、“グロービッシュで必要な語彙は、1,500語、構文はシンプル。複雑な文法や発音もいらない。今度こそ、英語をものにできる!“と有効性が高らかに主張されています。
グロービッシュが約束する「TOEIC 600点」というスタートライン
では、グロービッシュを学習して、どのくらいのTOEICの点数がとれ、本当に英語を公用語としている楽天クラスの就職試験をパスできるのか?について解説いたします。
慶応商学部からピッツバーグ大学大学院でMBAを取得。のちの日産時代には、カルロスゴーン氏のアドバイザーを務めた手島先生の著書では、グロービッシュで培われるのは、「TOEIC600 点レベルの語彙力」とされています。
TOEICが600点というと、一般のホテルマンが普段の業務で対応するレベルです。すなわち「基礎的なコミュニケーション能力」を証明する立派なスタートラインです。
もし、現在600 点に達していないのであれば、竹下光彦著「苦手な人ほどうまくなる英語 グロービッシュ入門」などを読み、グロービッシュの語彙とシンプル文法という基礎力の構築から始めてみてはいかがでしょうか?
世界のITを動かすインド式英語に学ぶ「伝える力」
統計によると、アメリカのIT技術者の実に約20%がインド人で占められています。インド系人材はグローバルビジネスの最前線で圧倒的な強さを見せています。
また、別のデータによれば、取得が難しいとされる米政府が発給するH-1Bビザ(専門職)の7割以上がインド人です。
なぜ、インド人は英語ができるのか?
それは、様々な理由が考えられます。諸説ありますが、主なものは以下のとおり。
インドは、イギリスの植民地だったため、ミッションスクール等で英語教育に熱心だった。
インドの独立後も英語は準公用語である。
英語はインドではキャリアのための必須投資とされていますが、インドの中で流暢な英語を話せるのは10%に過ぎません。でも、この10%が国際舞台で活躍しているのです。
➃小さいころから、「母語・ヒンディー語・英語」の3言語を学ぶのは当たり前とされています。
インド式英語の特徴とは。発音よりもシンプル文法?
インド英語は以下の様にネイティブの発音とは違っています。
R 音が「ル」と響く: car → カール, order → オーダル
TH音が「タ行・ダ行」になる: thanks → タンクス, this → ディス
W音が「V」の音に近くなる: we → ヴィー, west → ヴェスト
サイレントレターも発音する: Wednesday → ウェドネスデイ, debt → デブト
この訛りは、ほとんどの英語を話すインド人に共通するものです。
ネイティブにとっては、インド人の発音そのものが問題のようです。日本人がインド式英語を学ぶ時には、そのインド的な訛りは真似せず、シンプルな文法や表現方法にフォーカスして勉強なさってみてはいかがでしょうか?
インド式英語の提唱者である元早稲田大学客員教授である安田正先生は?
「インドは20年間で英語人口を10倍に増やした国です。彼らが英語力を伸ばした秘けつは、「ネイティブ的に正しい英語」を学んだからではありません。「自分の言いたいことが相手に伝わる英語で」かつ
「世界中の非ネイティブの通じる英語」をめざしたから」だそうです。
インド人たちは、複雑な表現は避けます。安田先生のメソードに見られるように「sound」、「find」、「give」の3つのシンプルな動詞だけで言いたいことを伝えきる構成力が身についています。私たちは、この「シンプル」さを大いに取り入れ、コミュニケーションをに生かすことだけを真似すればよいのです。
グロービッシュだけでは超えられない「楽天」の壁
グロービッシュで600点を達成し、基本的なコミュニケーションに自信を持てたとしても、グローバル企業が要求するTOEIC830点というスコアには及びません。
600点と830点の決定的な違いは、対応できる業務のレベルにあります。600点が日常会話・基本的な業務対応レベルであるのに対し、830点は専門的なビジネスシーンでの交渉そして契約書やレポートの複雑で高度なビジネス英語が求められることを意味します。
「伝わる英語」から「試験英語」へのハイブリッド戦略
グロービッシュで培った「通じる英語」の自信を土台に「試験英語」の技術を積み上げる「ハイブリッド学習」こそが、830点への最短ルートです。
ステップ
目的と学習法
Step1 基礎力構築
グロービッシュ・インド式英語メソッドで、基礎語彙単語1,500語とシンプル文法を習得。苦手意識を克服し、TOEIC600 点までを目指します。
Step2 TOEIC特化
830点という目標を見据え、TOEIC専用の語彙・文法・問題演習に切り替えます。特に配点の高いリーディングとリスニングの比重を高める学習に徹底します。
Step3 実践力強化
学んだ知識を「使える力」にするため。オンライン英会話で他国籍講師と会話。ネイティブ以外の様々な訛りを持つ英語に慣れる訓練を積みます。
まずは、グロービッシュや安田先生の教材等で、600点の土台を固めたら、TOEIC公式問題集や特化した単語帳などを使って試験対策を行うことをオススメします。
その際は100ヵ国もの講師を擁するDMM英会話などを利用し様々な英語に接して、「伝わる英語」に対する適応力を養ってください。
まとめ
TOIEC600点まで到達が目標な方は、グロービッシュやインド式英語で苦手意識を克服しましょう。600点以上で楽天クラスに就職したい方は、プラスアルファ―のTOEICに特化した勉強法にトライすることが必要です。
シンプルな英語、通じる英語の重要性は、グローバル社会において増々重要になってきています。そしてその後の「プラスアルファ」こそが、TOEIC 830点という高い壁を打破し、楽天クラスのグローバル企業への扉を開く鍵となります。
どうぞ、「伝わる英語」で自信という土台を築き、その上にTOEIC特化の学習で「高度なビジネス英語」を身に付けていただきたいのです。


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