昨年末の日本への移民の数は、312.9万人。
日本の総人口に対する移民の割合は、2.5%を超えました。
今までの外国人政策「移民は母国にいつか帰る人」という概念とはまったく逆の法律を日本は作りました。
この法律は「育成就労制度」といって、来日した外国人が自らの日本語能力や技能を高めることで、永住権を取得可能な人材として日本が受け入れることなのです。移民と日本人は「共生」していくという法律なのです。
で、この法律ができた①日本の移民問題の背景。そして②移民のメリット③デメリットをここで明らかにしたいと思います。
世界の移民問題のバックグラウンド(背景)とは?
世界人口白書は、世界の人口は2023 年から約7.4千万人増加し、約81億2万人となり、過去最高を更新する見込みです、と記しています。
このようなすさまじい人口の増加は、様々な社会問題を引き起こしています。
先進国での少子化高齢化問題や出生率の減少、開発途上国での人口増加による貧困問題や環境破壊などが、人口問題としてあげられます。
富める国貧しい国の格差が、移民や難民を産む大きな要因となっています。
1.世界の主な移民の引き受け先は?
米国がトップ。次いでドイツ、サウジアラビアの順となっています。
2.日本に住む在留外国人の出身国は?
(2023年6月出入国在留管理庁調べ)
中国78万人(+2.6万人)
ベトナム52万人(+3万人)
韓国41万人(+436人)
フィリピン30万人(+1.1万人)
ブラジル21万人(+0.1万人)
ネパール1万5千人(+1.6万人)
※韓国からの2023年度の移民が少ないのは、韓国の平均年収が日本より高くなってしまっているのが原因の一つと考えられるでしょう。
実は、日本はすでに世界第4位の「移民大国」のようです。次の章では、移民のデメリットの論理をご紹介しましょう。
移民を受け入れるデメリットは?
「移民は、社会的コストがかかり過ぎ、経済成長にはつながらない?』」
経済学者であり菅政権時代には内閣官房参与なども歴任した高橋洋一氏。歯に衣を着せない言動で人気があるエコノミストです。
その彼が「もし移民を引き受けても経済成長をするなら、移民はアリ!です」とズバリ。
「根本的に経済成長が高くなれば、多少の社会保障費のふくらみはカバーできるのです」。でも、「国連のデータ(移民人口比と経済成長率の推移(全世界2010-2022))を見ると、どうも移民が増えても経済成長率が右肩上がりにはならないのです」と語る高橋氏。
そんなに経済が豊かにならないのなら、「移民を無理に入れるより、ロボットや機械化をすればよい。『外国人との共生』は周回遅れ」と手厳しい高橋氏。
欧米では共生社会を目指したツケが生じている。現にイギリスもフランスも移民問題関連で政権を失いそうな危機的状況にあると解説する。
その他一般的に言われているデメリットは?
1.文化や風習の違いによって、日本人との摩擦やあつれきが起こりやすい。
2.治安の悪化や犯罪の増加が懸念される。
3.社会保障などのコストも上がります。
以上のような見方がありますが,移民は経済成長に欠かせない、という人々にとっては、「移民争奪戦」が世界で始まっている、という指摘も東洋経済などでなされています。
詳しくは、次の章の移民のメリットの章でお伝えしたいと思います。
移民を受け入れるメリットは?
1,東洋経済誌によれば、すでに「日本人だけでの豊かな暮らし」は終わり!
同誌では移民を受け入れなくては、コンビニはこれから1日5時間の営業時間になるでしょうと説く。
「『日本人だけである程度の豊かな暮らし』というのは、過去の蓄積がある現在は何とか維持できているだけで、今後そんなに長続きしないと覚悟すべきです」という論理を展開する!
「このように、日本人が豊かに暮らすためにも最低限の暮らしを維持するためにも、移民の受け入れは必須なのです」と。
移民受け入れのメリットを一流経済誌が、熱く語っています。危機感がひしひしと伝わってくるのです。次のメリットは、犯罪が多くてもおそれる必要はないと東大の理論?
2,東大の研究によれば、気になる移民の犯罪率は?
法務省の犯罪統計などを基に、国内に滞在する外国籍者に不法滞在者を足した人数の犯罪率を計算すると、0.4%で、日本の総人口における一般刑法検挙人員数割合の0.2%を上回ります(2017年データ)。但し、移民には、一般的に犯罪率が高いとされる男性、若年・壮年層が日本国籍者よりも多くなっています。この数値から、移民だから犯罪を起こしやすくなる
とは言えませんと。
アメリカの経済成長に移民は不可欠?
米国科学アカデミーが9月に公開した報告書には、「移民は労働力を供給し、国内総生産を押し上げてきた。人口動態の変化によって起きる労働人口の変化(日本では特に高齢化が進み、労働人口が減少している)に歯止めがかかっており、そのおかげで米国経済の成長は停滞を回避することができている」と。
米国経済に移民が重要な役割を果たしていると、米国科学技術アカデミーは言っています。
1.移民がもたらす人的・物的資本掲載と起業家精神、イノベーションへの影響が欠かせない例として、時価総額10億ドルを超えるとスタートアップ87社のうち44社の創業者には、少なくとも1人の移民が含まれている。
2.米国の大学で科学または工学の博士号を取得した外国人留学生が創業後に出願する特許の件数は、100人あたり62件にのぼるそう。
以上、科学技術アカデミーが主張するように、移民はアメリカの経済成長にとって必須条件(それが満たされない限り成り立たない)のようなのです。
移民のメッカニューヨーカーは移民問題にポジティブ?
さて、移民が市の労働者の43%をしめるという移民のメッカであるNY市。そこに住むコンピューターエンジニアのアンソニー氏(50代後半)は、アメリカ科学アカデミーの見解に同意し、移民をとてもポジティブにとらえています。
ドイツにおける最近の移民問題の動向?
ドイツでは2024年6月6日シュルツ首相が演説を行い、法律で重大な犯罪を行った外国人は強制送還することにと。(それがたとえアフガニスタンから来た外国人であっても)。
また、連邦雇用庁長官のシェーレ氏は、「ドイツは毎年40万人の移民が必要である。労働市場で欠けている人員を埋めるため、介護人材、から学者まで専門職人材が不足している」。と、移民の必要性を指摘しているのです。
日本における移民問題の動向?
日本も外国人労働者を必要としているようです。
例えば、タクシー運転手、介護士など。医療、福祉、建設業、運搬業・郵便業など幅広い分野で人手不足が深刻です。
ちなみに介護業界だけでも2025年までには、日本でも34万人の介護職員の不足の補充が必要となっています。(厚労省発表)
日本も移民による人材不足の拡充は待ったなしの状況のようです。
まとめ
移民は経済成長にとって、メリットかデメリットか?の論議を軸に、この記事を書いて参りました。
移民のデメリットに関しては、有名な経済学者である高橋洋一氏のYouTubeを引用しました。
また、メリットは、東大の文献やアメリカ科学アカデミーに関する記事を参考にしました。
移民の問題はこれから避けて通れないような気が致します。皆様の移民に関するモヤモヤを少しでも消し去ることができれば、幸いです。何とも難しい問題ですが、知恵を出し合って、一地球市民として、解決してゆく課題かもしれませんね。
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