「タイパ」から生まれるゆとり
『時間的効果』タイムパフォーマンスのことをタイパというようですね。
タイパについての考察意見どういう意味?で使われているのかを紹介します。
タイパ Z世代の間で重視される価値観
現代の若者を中心に「タイムパフォーマンス」という新しい概念が広まっているといいます。なるほど、膨大な数の情報が飛び交い、目まぐるしく発展する現代社会にあって1秒たりとも無駄にできる時間はないと判断されたのでしょう。
私も時々動画を再生する際に再生速度を速くすることがあります。こういった手を使うのは、たいてい職場でどうしても視聴しなければならない動画があったときでした。
特に興味のない動画であり、それを見るのに時間を使うくらいなら他の仕事を進めたい……そういうときに、ボタン1つで再生速度を変えることができるならば、利用しない手はありません。
他にもやらなければならない仕事があるのだからと自己を正当化し、私は1.5倍のスピードで動画を視聴しました。
こうしたことを「タイパ」というのかと漠然と思っていると、どうやら現代の若者たちは、趣味においても「時間対効果」ということを意識しているらしいのです。
タイパ Time is money~趣味も妥協しない姿勢~
たとえば動画サイトで映画やアニメを視聴する場合があると思います。ここでは自分の好きな作品を鑑賞するわけですから、「標準」に設定して心ゆくまで楽しむものだと思っていたら、どうやらそうでない人もいるといいます。
映画やアニメといった娯楽は本来、他者から強制されて鑑賞するものではありません。自分がその作品を好きだったり、興味を持ったりしたから見るはずです。にもかかわらずそこにも時間対効果を求めるというのは、どういう状況なのでしょうか。
テレビ等で放映されているアニメならば、私の子ども時代と変わっていなければ30分程度で終わるはずです。
オープニングやエンディングの歌、CMなどを省くと、もっと短くなるでしょう。これが映画だと2時間程度になります。
さて、もし30分なり2時間なりかけて見た作品の内容がつまらなかったら、どうでしょうか。私などは「自分には合わなかった」で終わるのですが、どうやらそうではない人もいるようです。「時間を無駄にした」、「その作品を見ていた時間に、他のもっと面白い作品を見たかった」、といった感想を抱く人もいるというのです。
タイパ「100均」ならあきらめがつく?
そこで登場するのが「再生速度」のボタンです。速くに設定すればその分早く見終わります。たとえ作品の内容がつまらなくて「見て損した」としても、消費するのは本来かかるはずの半分の時間です。1000円くらいかけた買い物に失敗するとやり場のない怒りを感じるけれど、100円ショップで購入したものがすぐに壊れてもあまり腹は立たないのと同じです。
最近の若者はそんな感覚を趣味や娯楽に費やす時間に対しても感じていたのかと驚きます。しかいよく考えてみると、私たち昭和生まれ世代も、昔同じようなことをやっていました。
タイパ 実は昔からあった「タイムパフォーマンス」
録画したテレビ番組を見るとき、決まってCMを早送りしていました。ドラマやアニメを録画した場合は主題歌をカットしたり、前回のあらすじを早送りしたりしていました。
楽しみたいけれど時間は惜しい――明確にそう思っていたわけではありませんが、時間が費やされていくことにいら立ちを覚えていたのは間違いないでしょう。「時間対効果」という感覚は、別に令和になって急に出てきたわけではないのです。
最近の若者はそんなに時間に対してけち臭くなったのかと嘆こうとしてしまいましたが、何も今さら嘆くような話でもありませんでした。よく考えれば、どこの家庭にもある電子レンジや炊飯器などの家電も、まだはっきりした概念こそなかったものの「タイムパフォーマンス」を意識して発明されたはずです。短時間でおいしいものを食べることができるなんて、幸せじゃないですか。
タイパ 生み出した時間で何をするか?
こういった言葉が出てきたのは、もはや「時間対効果」を考えること自体が当たり前になっていったからではないかと思います。たくさん時間をかけて作った料理が必ずしも口に合うとは限りません。仕事だって、たくさん時間をかけるよりも効率よく進めて早く終わらせたほうが他のことに時間を割く余裕ができます。
何でも時間をかければいいというものではない、そんな当たり前のことにみんなが気づいたのです。
そうやって生み出された時間を、みんなどんどん有効に使えばいいと思います。
しかし私は、そうやって生み出した時間をあえて「時間対効果」にこだわらずに使うのもいいとも思っています。せっかくできたゆとりなのに、そこでまた「速く、効率的に」ということばかり考えてしまうと、もったいない気がするのです。
タイパ まとめ
早く退社できたぶん1駅分ゆっくり歩いて帰ってみたり、たまには解説動画から入らない読書をしてみたり、「タイパ」から離れてみてはどうでしょうか。心と頭にゆとりができると、時間を気にしてばかりいたときには思いつかなかったような素敵なアイディアが浮かぶものです。「これはいいな」と思った仕事のアイディアも日々のちょっとした工夫も、いつも「余った時間」の中で思いついていたような気がします。「タイパ」で生み出した時間を使って、みんながゆとりある幸せな日々を送っていけるといいなと思います。
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