故坂本龍一の図書構想『坂本図書』オープン?書籍も9月24日発売!

本/音楽/エンタメ

2023年3月に亡くなった坂本龍一。さまざまな音楽に挑戦し、アカデミー作曲賞を受賞した音楽家です。

2023年9月末には、読書家・愛書家でもあった彼の所蔵の本を手に取り読める空間ができます。また、空間と同名の『坂本図書』が新刊本として発行されることに。その構想に合わせて、彼の素晴らしいキャリアの一端を知っていただきたいと思いました。

坂本龍一のライブラリーができる。そして新刊本『坂本図書』が出版される

① 坂本龍一の図書空間(Sakamoto Library)

坂本龍一さんが2017年より暖めていた図書構想。いよいよ2023年9月末よりオープンする。https://www.instagram.com/sakamoto_library/

2019年3月1日時点の坂本龍一の話しですと、坂本宅には本が多いのに困って、NYの古本屋に売ると、とても安くてもったいない。なんとなく日本の貸本屋を思い出し、読み終わった本を読みたい人に読んでもらえないだろうか、と考えたそうです。

それが、『坂本図書』の構想のはじまり。場所は東京都内で、非公開。詳しくは公式ウェブサイトや登録制のニュースレターを通じて告知されるそうです。

②新刊本『坂本図書』が9月24日刊行される

2018年から22年にかけて、図書構想のもと、「婦人画報」で連載『坂本図書』がはじまり、本を媒介に浮かびあがる、坂本龍一の記憶と想像の人物録です。

『坂本図書』

選書・語り 坂本龍一

文・構成 伊藤総研

発行一般社団法人 坂本図書

発売 バリューブック・パブリッシング

価格 2,200円


坂本龍一の生涯 YMO (イエロー・マジック・オーケストラ)まで

幼いころから母方伯父のレコ―ドを聴いて育ったという。父は河出書房の「文藝」編集長で、三島由紀夫、高橋和己を世に送り出したことでも知られる名物編集者です。そんなこともあってか、幼少のころから坂本さんは音楽や文学に親しんでいたようです。

10歳で東京芸術大学教授の作曲を学び始め、1975年頃の東京芸術大学大学院に籍を置きながら、スタジオミュージシャンとして活動を開始しました。大瀧詠一、山下達郎、伊藤銀次などのアルバムづくりに参加。このころ細野晴臣と知り合ったそう。

1978年、細野の誘いにより高橋幸宏とともに『イエロー・マジック・オーケストラ』を結成し、『ソリッド・ステイト・サバイバー』を発売。「テクノポリス」「ライディーン」などのヒット曲が満載されたアルバムとしても有名です。

このころ、YMOの活動と並行して、坂本は舞踏のグループ、フュージョンの渡辺香津美、矢野顕子、ドラムの村上秀一、ジャズの本多俊之らと共演しています。YMOは1980年にかけて、2度目のワールドツアーを行っているのです。

 YMO解散からニューヨークへ、そして映画音楽

1983年公開の映画『戦場のメリークリスマス(大島渚監督)』に役者として出演する傍ら、映画音楽を担当しました。第36回カンヌ映画祭に出品され、結果は無冠でしたが、坂本さんの音楽は高く評価され、英国アカデミー賞作曲賞を受賞、全英チャートで16位を記録。同年、YMOは『散会』(解散)したのです。

フリーになった坂本龍一は、1989年『ラストエンペラー』でグラミー賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー作曲賞を軒並み手に入れました。1990年4月、音楽の拠点をニューヨークに移したのです。1992年には、バルセロナオリンピックの開会式のマスゲームの音楽を担当しました。

1993年YMO『再生』(再結成)、6月には東京ドームにて、2日間のライブを行っています。1995年ダウンタウンと交流を持ち音楽ユニットを結成したりもしました。以上様々な活動、変遷を経て、がんの闘病生活に入ります。

坂本龍一なぜ亡くなった?

2014年中咽頭がん 21年直腸がんを公表し、闘病を続けていたました。

闘病生活といってもがん発見の翌年8月には映画「母と暮らせば」(監督・山田洋次、主演・吉永小百合)の音楽で仕事復帰しました。本作で、第70回毎日映画コンクール・音楽賞を受賞。2015年には、モンブラン国際文化賞を受賞しました。

2022年6月「ガンのステージ4」であり、両肺に転移したがんの摘出手術を受けたことを報告。2022年7月号『新潮』より「僕はあと何回、満月を見るだろう」の連載を開始しました。

コロナ禍のためこの3年間は公の場でのコンサートは行われていません。でも、2022年3月26日、東北復興支援プロジェクトとして『東北ユースオーケストラ』のサントリーホールでの公演に出演。これが、最後の聴衆を前にした演奏になりました。

同年12月11日に全世界に向けて配信されたピアノソロコンサートが、最後の公の場となったのです。これは、同年9月に事前収録したもので、体力面を考慮して、1日数曲ずつ演奏し、数日かけてコンサート仕立てにしたのだそう。

2023年3月28日東京都内の病院で死去。71歳没。

所属事務所によれば「がんの治療を受けながらも、体調の良い日には自宅内のスタジオで創作活動を続け、最後まで音楽とともにある日でした」。

そして所属事務所のコメントは、坂本さんが好んだ一節「Ars longa, vita brevis 芸術は長く、人生は短し」で締められた。

苦しい闘病生活の中でも、亡くなる2日前の3月26日には、自身が代表・監督を務める「東北ユースオーケストラ」に演奏会を視聴した感想を送ったりもしていました。

「世界のサカモト』と呼ばれた坂本の訃報はイギリス、BBC,アメリカ・CNN,フランス・AFP通信、韓国・聯合ニュースなど、速報で伝えられたのです。また、世界中の著名人のWebサイトやSNSアカウントで追悼文が公開されました。

まとめ 世界のサカモトの生涯と9月オープンの図書館

以上、生前から暖められてきた『坂本図書」と坂本龍一の生涯について述べて参りました。ウィキペディアは、全46ページもの長文でした。それほど、活動範囲が広かったのです。

例えば、手掛けた音楽のジャンルだけでも、エレクトロニック、前衛音楽、クラシック、ポップ、ロック、実験音楽、フュージョン、シンセポップ、アビエント、映画音楽、ワールド、現代音楽など、多岐にわたります。職業も、作曲家、編曲家、ピアニスト、音楽プロデューサーと。

この度は、本好きの坂本龍一さんの『坂本図書』なるライブラリーが都内某所の空間に9月末日にはオープンするという情報をトップでお伝えしました。また、婦人画報に連載していた『坂本図書』の新刊本の出版も合わせて9月24日に行われます。

昔からのサカモトファン、最近になって坂本龍一のことを知ったという若い読者の皆様。どうぞ、坂本龍一という良質の音楽と本をこよなく愛していた芸術家が生きていたことを知っていただきたいと思いました。


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