名前探しの放課後タイムスリップしてない?あらすじ感想口コミレビュー

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名前探しの放課後タイムスリップしていないんでしょうか?

気になる辻村深月さんの本の紹介をします♪

この記事では名前探しの放課後あらすじや感想口コミレビュー

タイムスリップについて詳しく書いていますので参考にしてみてください。

 

名前探しの放課後タイムスリップしてない?あらすじ

突然タイムスリップ
高校生の依田いつかが最初に違和感に気づいたのは、友人とジャスコで話していたときです。目の前に掲げられているパブ「秘密の花園」の看板。これは前に撤去されてはずではなかったか、どうなっているのだ、そもそも今日は一体何月何日だ……。
依田いつかは時計を確認して気付きます。今日の日付は10月11日。いつかは、これから3か月の間に起こることを知っていました。パブがなくなること、3か月後に生まれてくる姉の子どもの名前、そして、2学期の終業式の翌日に、同級生が自殺すること。
名前も性別も思い出せないその同級生を探し、自殺する未来を変えるために、依田いつかは動き始めます。

名前探しの放課後タイムスリップしてない?見どころ

名前探しを通じて結ばれていく絆
依田いつかが最初に声をかけたのは同級生の坂崎あすなです。同じ中学出身で、読書家。中学時代にタイムトラベルについて研究していたことを買って、いつかはあすなに自分の置かれた状況を説明していきます。
それから、親友の長尾秀人、その彼女の椿、秀人の友人の天木敬。慎重に人を選び、自分が3か月後の未来から来たことと、自分たちの同級生が自殺することを打ち明けます。こうしていつかは彼らとともに自殺するかもしれない同級生を探していくことになりました。
そんなある日、坂崎あすながあるノートを拾ったことで、一人の人物に行き当たります。それがが、隣のクラスで鉄道オタクの河野基です。彼はノートに遺書のようなものを書きつけ、自分が死んだあとの新聞記事までフィクションとして書いていたのです。これを受けていつかたちは、河野が陸上部のエース・小瀬友春からひどいいじめを受けていることを知りました。
ある出来事をきっかけに、いつかはくっきりと自殺したのは河野基だと思い出しました。

ここから河野を生かすための活動が始まるのですが、これがもう本当に素晴らしい友情物語が展開されていきます。音楽室やジャスコでの作戦会議、あすなの実家の洋食屋での食事、河野を強くするための水泳の特訓、福島への日帰り旅行、クリスマスパーティーなど、すべては河野を生かすための活動なのですが、それらを通じて6人の友情が深まっていく様は本当に感動的です。
また、河野をいじめる加害者役の小瀬友春の役割もいい具合に効いています。いい具合にイベントが発生し、そのたびに登場人物たちが何かを得ていくような、すとんと納得のいく友情物語の展開。私は途中から、目的(名前探し)のことを忘れて、6人の絆が深まっていく友情物語に引き込まれていきました。
しかし、そこは辻村深月さんの作品です。トリックがないわけがありません。



そこも含めてみどころですが、高校生たちの心温まる青春物語も目が離せません。

名前探しの放課後 感想口コミレビュー

やはりそこは辻村深月さん作品
この作品は上下巻にわたります。ですが、全く長さを感じません。作品の中では3か月の時間が流れていきます。濃い、青春物語です。ただ、忘れてはいけない「名前探し」ですが、正直私は「自殺者=河野基」説を疑っていました。展開していく物語は楽しみつつも、自殺者はいつか自身なのではないかとすら思っていました。結局、いつかの言っていた自殺も起こらず、話はこのまま終わるのかと思いきや、下巻の、ほとんど終盤になって「それ」は起こりました。この展開、このぞくぞくした感じは、初めて辻村深月さんの作品を読んだときにも味わいました。
ちなみに、いつかが通うのは進学校です。そんなところで河野基を襲ったような壮絶ないじめがあるだろうかという疑問がまずあり、それに対する登場人物たちの姿勢もやや不自然。また、いつかが必死になって(いるように私には思えました)バイクの免許を取ろうとしていたり、お嬢様学校に通っている秀人の彼女の高校といつかたちの高校のテスト範囲が同じだったり……
不自然だなあとは思っていたのです。それら全てがあのラストに繋がっていたことに、毎度のことながら「だまされた!」という気持ちになりました。私は、この感覚が好きで辻村さんの作品を読み続けています。
もちろん、ミステリー要素への感動だけでなく、物語の終わり方としてもちゃんと感動できるラストでした。依田いつかくんの、自殺した同級生への思いの深さに私も胸が熱くなりました。全力で青春をしたから、いつかはきっと、自分が知っている世界(タイムスリップする前の世界)では得られなかった気持ちを持つことができたのでしょう。
どうしていつかがタイムスリップをしたのか、それはほかならぬ、いつかに後悔があったからなのではないでしょうか。自殺したクラスメートを救いたいという気持ちを、誰よりも強く持っていたのです。死なせたくない、生かしたい、自分がその人物を守りたいというまっすぐな思いが、いつかを3か月前の世界に戻したのです。

辻村深月さんのプロフィール作品紹介

『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞し、作家デビューされました。
ハラハラするミステリー作品から心温まる作品、また、少しダークな展開の物語まで手掛け、読者の心を捕らえて話さない作家さんです。
『ツナグ』、『かがみの孤城』など、話題作も多数あります。

名前探しの放課後 こんな人におすすめ

やはり、だまされたい人へ
私の中では『冷たい校舎の時は止まる』の衝撃が再来しました。大々的にだまされたい人は、ぜひこの作品を手に取ってみてください。
また、青春物語としても十分に感動的で素晴らしいものなので、そういった作品が好きな方におすすめです。
辻村さんの作品を読む順番としては、『ぼくのメジャースプーン』を先に読むとテンションが上がりますが、『名前探しの放課後』単体で読んでも十分満足できます。


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