白い巨塔あらすじネタバレ考察?ストーリーをわかりやすく解説

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『白い巨塔』山崎豊子作

ドラマでは何度もリメイクされるほど人気の白い巨塔のあらすじネタバレ口コミなど気になるところをを解説していきます♪

白い巨塔あらすじ

「財前教授の総回診です」

 私が思う医療ドラマの最高峰、『白い巨塔』の有名な総回診のシーンは、たとえ本作を見たことがない人であっても目にしたことがあるのではないかと思います。このシーンはドラマの冒頭に置かれることが多く、始まった瞬間に他の番組を見ようと思ってチャンネルを変える人も、ギリギリ見ているのではないかと私は考えています。

 私は最初このシーンを見た時に、偉い人を先頭に医療関係者が病院内を巡回するなんて、なんだか仰々しいし落ち着かないなあと思っていました。それでもドラマ自体はおもしろいのでずっと見ていました。

『白い巨塔』という作品

 私が見ていたのは唐沢寿明さん主演の2003年放送のものです。当時リアルタイムでも見ていましたが、今でも時々この『白い巨塔』を見返しています。

 この作品は山崎豊子さんの原作をドラマ化したもので、今から50年以上前にもテレビドラマが放映されています。大学病院で繰り広げられる権力争いや医療裁判を取り扱った内容になっていますが、本当に素晴らしい作品です。何回見ても続きが気になり、何回見ても飽きないのです。つくづく実によくできたドラマだと思います。

「財前五郎」の変貌?

 財前五郎はこの作品の主人公である外科医です。オペの天才であり、手術室の時計のシーンが印象的です。正直私は最初に見た時、早ければいいってもんじゃないだろうと思っていましたが、次第にそんなことは問題でなく、彼の自信に満ち溢れた態度はいっそ爽快だと思うようになりました。

 ところで、この財前という医師を演じているのは唐沢寿明さんなのですが、彼の演技力なのでしょうか、この記事の冒頭に書いた「総回診」のシーンが実によくできていると思います。

 第一部ではまだ財前の師である東教授(石坂浩二)を先頭に総回診を行うのですが、そのときまだ助教授だった財前は当然東教授の後に続くことになります。何というか、この時の財前教授がまだ視点が「定まっていない」のです。高そうな料亭で義父(西田敏行)にライターを貰うシーンなどもそうなのですが、これが教授に就任してからのあの財前五郎と同一人物なのかと疑うほど、頼りなさを感じるのです。



 

白い巨塔感想口コミレビュー

私は何度「ああ、第一部の財前五郎と第二部の財前五郎は同じ役者が演じているんだ」と確認せねばならなかったかわかりません。もちろん、ちゃんとわかって上で確認していました。財前は自信家という設定ではありますが、その天才的なオペの腕前や自信と、偉い人たちを前にしてまだ「財前教授」になりきれていないという第一部の印象のバランスが絶妙で、私は目が離せなくなりました。その点、ライバルである内科医の里見脩二(江口洋介)は、わかりやすく熱意のある患者思いのいい医師であり、そのキャラクターが一貫して安定しています。最後まで安心して見ることのできた里見と、始終ハラハラしながら見ることになった財前。この二人のやりとりもまた見どころなのですが、やはり第一部と第二部の財前の変貌ぶりは、そこだけ見るともう「何があったんだ」という感じです。仮にそこだけを見た人がいたら、絶対その間のドラマを見たくなるでしょう。そんな財前を見事に演じた唐沢寿明さんは天才だと思います。

「財前五郎」の正体

 後半は医療裁判が中心になります。財前の誤診により死亡した患者の遺族が、財前の診断に納得できず医療裁判を起こすことになります。

 リアルタイムで見ていた時は、「財前教授、主人公にして悪者か?」と思っていました。

 裁判に向けて戦うと決めた遺族や、遺族のために証言台に立つ里見、遺族側の弁護士である関口(上川隆也)やその助手の佐枝子(矢田亜希子)などの姿がまぎれもない正義のように思い、第二部の途中からはすっかり彼らを応援してしまっている自分がいました。

 しかし、また見返してみた時、どちらかが正義でどちらかが悪だなどという単純な公式では表せないものを感じるようになりました。財前には財前の正義があり、患者を救おうとしていたはずです。何が悪かったのかと言われると、大学病院の空気でしょうか。

 それでも、最後の最後に、財前が、救えなかった自分の患者に対して執着しているような描写があり、私は少し救われた気持ちになりました。彼もやはり里見と同じで、医師として人の命を救いたいという思いがあったのです。

 第一部で垣間見たどこか視点の定まらない財前は、ひょっとしたらまだそのまっすぐな思いが強かったのかもしれません。思えばあれは、権威と自分の思いとの間に揺れる若き医師の姿だったのです。そんな財前に寄り添ってあげる人間がいればよかったのにと思います。あるいはそれが里見だったのかもしれませんが、里見がそうなるには、財前はもうすでに遠くに行きすぎていたのです。

白い巨塔豪華キャストの役者魂!

 このドラマは、内容はもちろんキャストも見どころです。

 主演の唐沢寿明さんを始め、どの役者さんも演技がうまいのです。里見を演じる江口洋介さん、財前の愛人を演じる黒木瞳さん、東教授の夫人を演じる高畑淳子さん、遺族を演じるかたせ梨乃さんに、財前側の弁護士を演じる及川光博さんなど、本当にどの役者さんもいい味を出しています。

 日頃からドラマが好きで見ているという人はおそらく役者さんの演技力に魅了されると思います。また、医療ドラマが好きで見ている人も、医療そのものというよりは大学病院の権力争いや医療裁判をテーマに描かれているので、また違った視点で医療ドラマを楽しめるのではないでしょうか。ちなみに、2019年には岡田准一主演のものが放映されていました。そちらを見た方は、唐沢寿明さん版と比較しても面白いかもしれません。


 

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