海水浴を安全に楽しむために…
いよいよ夏休みが近づいてきました。
夏休みといえばキャンプや海水浴など楽しいイベントが目白押しですよね。
今回は、夏の海水浴を安全に楽しむための情報をお届けします。
海でおぼれた思い出
私は小学校低学年のころに海でおぼれたことがあります。
それは、家族で海水浴に出かけたときでした。私は父親と弟と一緒に海の浅瀬で遊んでいました。遊んでいる途中で父親が、海の家にいる妹を連れてくるからと言ってその場を離れました。
その際、私と弟には「絶対にこの場所を動かないこと」と言って行ったのです。その場所は十分に足の付く場所だったので、私は浮き輪を持っていませんでした。まだ就学前の弟は浮き輪を持っていました。
しばらく二人で待っていても、父親と妹は来ません。それでも特に気にすることなく、私と弟はその場所で遊んでいました。
しかし、事態は急変します。十分に足の付く場所にいたはずなのに、気が付いたらつま先がギリギリ付くかつかないかという場所に来ていたのです。
まだ小さく、泳ぎも上手でなかった私はおぼれていました。弟はというと、浮き輪を持っていたのでおぼれている様子はなく、楽しそうに波に乗っていたのです。周りに大人はいましたが、弟が楽しそうにしていたので私がおぼれているとは思わなかったようです。私ひとりが異常事態の発生に、しかしどうすることもできなくてパニックになっていました。
しばらくして父親が来て、私は助かりました。父親からは「どうして浅いところで待っていなかったんだ」と怒られましたが、私にも弟にも「足が付かなくなるくらい深いところまで行った」という意識は全くなかったのです。
知らない間に流される!「離岸流(りがんりゅう)」を知ろう
私と弟は海の浅いところで遊んでいたはずなのにいつの間にか深いところに流されていました。幸い小学校低学年の私にとって深いところだったため、父親が来てくれたおかげで助かりましたが、一歩間違えば大変なことになっていたでしょう。
私たちを襲った現象の正体は、おそらく「離岸流」ではないかと思います。離岸流とは、岸から沖に向かって生まれる強い流れのことをいいます。これは、海岸に打ち寄せた波が波打ち際に溜まり、その溜まった波が沖へ戻ろうとして発生するものです。
離岸流は最大ですと秒速2メートルの速さに達することもあるようです。1分もしないうちに沖まで流されてしまう、とても恐ろしい波なのですね。私たちはこの波に乗ってしまい、短い時間で浅瀬から流されてしまったのかもしれません。
こんな場所に注意!お子様だけで遊ばせないで!!
恐ろしい離岸流ですが、どんな場所で発生しやすいかをわかっていれば流されることを防げます。
まず、離岸流は遠浅で海岸線が長い場所で発生しやすいといえます。私たち家族はよく遠浅の海で海水浴をしていました。浅いからといって油断はできません。
次に、近くに人工物がある場世でも発生しやすいようです。波が溜まりやすいのでしょう。
また、外洋といって陸地の外側に広がっている海でも発生しやすいといえます。
波が溜まってしまう環境にある場所は離岸流が発生しやすいので、そのような場所でお子様だけで遊ばせるのは控えたいですね。
もし流されたらどうする?
離岸流は子どもだけでなく、大人も流される危険性があります。
もし流された場合は、必死に岸に戻ろうとせず、岸と平行に泳いでください。そして、周囲に人がいれば流されてしまっていることを知らせましょう。
また、どうしても泳ぎが苦手な人は、一生懸命泳ごうとして体力を消耗するのではなく、浮くことに専念してください。そして、助けを求めましょう。離岸流に逆らって泳ごうとしても戻ることは難しいといえます。流れを感じなくなるまではじたばたせず、落ち着いて行動してください。
お子様と海の危険性を話し合っておく
また、海水浴に行く前にお子様と十分に海の危険性について話し合っておくことが大切です。私が海でおぼれた時、弟は楽しそうに波に乗っていました。海は広くて波もあり、プールで泳ぐより何倍も楽しいでしょう。
実は私自身、その時期は学校の水泳教室に参加して泳げるようになったばかりだったのです。だから泳ぐことが楽しくて仕方がありませんでしたし、浅いところなら大丈夫だと自信を持っていました。しかし実際は25メートルプールを泳ぎ切ったこともありませんでした。それなのに、少し泳げるようになっただけで気が大きくなっていたのです。
水泳でも習っていない限りは、お子様の「大丈夫、泳げるよ」という言葉はあくまで「水に顔もつけられなかった頃と比べて」だと考えておくのがいいでしょう。お子様の中では大きな変化で、それはとても素晴らしいことなのですが、自然の脅威には通用しません。
少し水に慣れてきた子には特に、海の危険性について話しておきたいですね。海を知ることは海と仲良くなることにつながります。今は情報化社会で小さなお子様でもスマホやパソコンを楽々と操作していることが多いと思います。お子様自身に、どんなことに気を付ければいいかを調べてもらうのもいいかもしれませんね。
お盆に海を避けたい理由
ところで、お盆以降は海に入らないほうがいいという話を聞いたことはありませんか?ご先祖様の霊が帰ってきて……といった迷信めいた話もありますね。しかし、お盆以降に海を入らないほうがいいという説は全く無根拠というわけでもありません。
お盆以降はクラゲが大量に発生したり、台風が発生しやすくなって波が強くなったりと、通常の海よりも危険性が高まります。
もちろん、お盆以降にまだ海開きをしているところもありますから、絶対に泳いではいけないということではありません。それでもお盆以前よりも危険性が高まるのは確かなので、お盆以降でないと海に行く予定が取れないという場合は、特にお子様からは目を離さず、海の様子を注意深く観察して楽しむようにしましょう。
自分自身も、他の人も守りながら楽しい海水浴を!
ところで、私と弟が流されてしまったとき、周囲に大人がいたのですが誰も助けてくれませんでした。その理由の一つとして、弟が楽しそうにしていたことがあると思います。
また、私がおぼれた場所は小学校低学年の子どもにとっては「深いところ」でしたが、大人にとっては「難なく足が付くところ」です。それもあり、まさか私がおぼれているとは思わなかったのでしょう。
しかし、海の場合はたとえ子どもが楽しそうにしていても流されている場合があります。私の弟だって、もしずっと父親が来てくれなかったらあのまま沖に流されてしまって二度と戻ることはできなかったと思います。弟はまだ泳げなかったので浅瀬でも浮き輪をしていたのです。
ご自身とご自身のお子様には十分注意しつつも、もし海でお子様だけで泳いでいる姿を見かけたら少し気にかけてもいいのかもしれません。夏休みに入る前に、お子様と一緒に海について調べて、安全で楽しい海水浴にしましょう。
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