イギリス生まれの画家、デイヴィッド・ホックニー(86歳)の大規模な個展が11月5日まで、江東区の東京都現代美術館で開かれています。
この記事では60年にわたって、彼が実際に住んだ地方や影響を受けた芸術家などによって変遷していった彼の芸術の作風を追ってみたいと思います。そうすることによって、現存する世界一人気のある作家、デイヴィッド・ホックニーの実相に迫れると信じたからです。
デイヴィッド・ホックニー展 東京
会期:2023年7月15日〜11月5日
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00
※入場は閉館の30分前まで
休館日:(7月17日、9月18日、10月9日は開館)、7月18日、9月19日、10月10日
料金:一般 2300円 / 大学生・65歳以上 1600円 / 中・高生 1000円 / 小学生以下無料
ホックニーの代表作など合計120点余の作品が展示されているのです。その中には、コロナ禍に製作された90メートルものiPadで製作した大作も含まれています。
デヴィット・ホークニー 特徴は?
デイヴィッド・ホックにーは活動初期から肖像画(ポートレート)を得意分野とし、ゴッホを彷彿とさせる燃え立つような色彩と、アングル的なクラシカルで緻密なタッチが彼の作品の特徴です。
最も成功した画家と言われるデイヴィッド・ホックニー(86歳)。イギリス生まれで、現在はフランスのノルマンディーを拠点に活動をしています。
2012年に開催されたロイヤルアカデミー(ロンドン)の個展では、50万人以上の来場者がありました。また、2017年ポンピドゥー・センター(パリ)でも60万人以上の来場者を記録したのです。
2023年の東京での個展について、主催の東京都現代美術館や美術手帳などでは「今、現在、世界でもっとも人気のある芸術家のひとり」とハッキリと明言しています。
どんなに人気があるかと言えば、2012年にクリスティーズにおいて、ホックニーの作品が102億円という高値で落札されたのです。この額は、現存するアーティストの作品としては最高でした。
1.デイヴィッド・ホックニーの学生時代 イギリスのポップアート運動に参加、既に人気画家!
1937年イギリスのブラッドフォードに生まれ、その後地元の美術大学を経て、ロイヤルカレッジ・オブ・アートに学びました。
1960年代のイギリスのポップアート運動にも参加し、初期の様々な作品を残しています。
卒業時には、イギリス国内ですでに名の通った存在だったのです。絵はコンスタントに売れ、若者の文化革命「スィンギング・ロンドン」の一員として、雑誌に頻繁に登場したりしていました。
つまりは、画家として彼は、非常にラッキーなスタートを切っていたということなのです。その当時10代で、ゲイであることをカミングアウトしたりもしています。
後、1963年にニューヨークを訪れ、アンディ・ウォーホールと出会いました。
そして1964年からそのまんま断続的に50年にわたり、ロスアンゼルスに住むことになったのです。
ロスサンゼルスに定住ロスでの活動 西海岸の鮮やかな色彩!
ロスアンゼルスに移住したホックニーは、イギリス時代とはうってかわったアメリカの西海岸の明るい陽光を感じさせる華やかな色彩で、室内、プール、人物などをアクリル画、油絵などで描き一躍脚光を浴びたのです。
美術手帳は「ロサンゼルスへと拠点を移したことで、アーティストとして大きく変化した」と述べています。色調がカリフォルニア特有のカラフルなモノへと変わったのです。
ピカソやマティスの影響を受けた時代から現在に至るまで様々なアーティストの影響を通して、よりよく世界を見る
また、その間70年代以降、ピカソ、セザンヌ、マティス、浮世絵などのアーティスト達の影響が見られるようになってくるのですが…
美術手帳では、「他のアーティストの手法を借り、その目線でモノを見てみることで、よりよく世界を見ようと試みるホックニーの転換点の作品群がある」と解説しています。
また、ホックニーは旅をよくしており、2011年には、イギリスのヨークシャー東部で幅10メートル、高さ3.5メートルの油彩画を残しています。これは、日本で初めて公開される作品です。
様々な技法 とりわけiPadを用いて大作に挑戦!
様々な技法を駆使し、表現活動を行うホックニーは、当時、新しい画材であったアクリル絵の具を積極的に使い、ロスアンゼルスに点在するプールを描きました。
その他にも素材にこだわり、紙パルプと呼ばれる技法を生み出したのです。1978年には、「Paper Pools」という作品を製作しています。手でパルプと染料をまぜ、プールを水彩画のような質感や色彩で表現しました。
そう、技法に関してもいろんなチャレンジングなことをしています。
その後、PCやiPadなどのデジタル製品を多用し、より写真的なリアリティーを追求しました。
現在、フランスのノルマンディー地方に暮らしていますが、iPadの作品を数多く残しています。日本での展覧会にもiPadで製作した90メートルほどの巨大な作品を持ってきているそうです。
普通の絵の具を戸外で使うと色彩がうまく表現できませんが、iPadは即時に色彩を残せるとのこと。
iPadでの作品は、モニターで紹介されるにとどまっていますが、iPadでの製作がキャンバスの作品に対して相当な影響を与えているようです。
最新の作品である「ブルー・テラス」などでは、そのiPadの影響をまぶしいほどの鮮やかな色彩などに見出すことができます。
まとめ ホックニーの年齢を感じさせない探求心
今年で86歳になるホックニーは年を取るほど多作になるそうです。
イギリスにおける学生時代、カリフォルニアに移住し、嬉々としてアクリル絵の具でプールや室内を書き続けた日々。また様々なアーティストからの影響を色濃く残すホックニーの絵は、いつの時代も明るく、ポジティブでした。
60年を超える年月を創作活動に捧げ、コロナ禍にあっても、カラフルなiPadによる90メートルもある大作を製作し、この個展で展示をするのです。意気軒高なホックニーの作品からほとばしる熱量みたいなものを感じ取ることができるでしょう。
コロナ禍を乗り越えられた2023年だからこそ、出会えるホックニーの作品にぜひ、会場で直に接していただきたいと思います。
デイヴィッド・ホックニー展
会期:2023年7月15日〜11月5日
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3F
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00
※入場は閉館の30分前まで
休館日:(7月17日、9月18日、10月9日は開館)、7月18日、9月19日、10月10日
料金:一般 2300円 / 大学生・65歳以上 1600円 / 中・高生 1000円 / 小学生以下無料
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