2024年12月4日、日本酒がユネスコの無形文化財に登録されることが決まりました。翌日には、日本の地方都市の駅で日本酒が一般人にふるまわれるなど、日本酒ブームが起きているようです。いや、世界ではもう起きてたのかもしれません。
2013年の「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的な日本食ブームが起こりました。それと同様に日本酒も日本食と同じ軌跡をたどる可能性があります。
今回は、海外の日本酒事情、特にロンドン・ニューヨークの日本酒バーにそしてオークランドの酒蔵に焦点を当ててみたいと思います
海外の日本酒事情?輸出の増加そして酒蔵があちこちに!
輸出総額もうなぎのぼりで、11年連続過去最高を記録しています。2021年度は401億円で、昨年対比は166.4%を記録しているのです。。
現在、海外の酒蔵は2019年時点で、すでに61に登ります。主だった酒蔵を下記に記しました。
- フランス2軒
- イギリス3軒
- スペイン2軒
- ノルウェー1軒
など、SAKETIMES調べ
- 米国では、もともと、カリフォルニア州には大関、宝酒造、月桂冠、八重垣などの酒蔵が1980年ころから日本酒を製造販売していました。その後、様々な酒蔵がオープンしています。
- 吟醸酒は、オレゴン州の最初は「SakeOne」で作られています。「SakeOne」は、1997年酒造りを開始。2011年、SakéOneの株式を白鶴酒造が買い取ったことで、白鶴酒造のグループ会社になりました。
日本酒は日本国内で減少傾向だが、逆に輸出と海外生産は盛ん?
日本酒の国内出荷量は、昭和48年度については、170万リットルを超えていたのですが、他アルコールの飲料(チューハイなどのリキュールなどは増加)との競合などにより、日本酒は減少傾向が続いています。
2023年では、日本酒の生産額は39万リットルまで減少。日本国内では日本酒離れと言われて久しいのです。
片や、前章でも述べた通り、ヨーロッパ・アメリカなど海外に対する、日本のお酒の輸出量・海外での生産量ともに過去最高になっています。
一体、なぜ、海外で日本酒の需要がそんなに増えているのか?については、2つ大きな理由が考えられます。
第1に日本食レストランの増加
例えば、アメリカ全土には23,000軒の日本食レストランがあります。レストランの存在が日本食の普及に大きく貢献しています。
第2に世界の食に合う日本酒の魅力 ペアリング(相性)?
日本食レストランの増加の他に、北米酒造組合のウエストン小西さんは「実は、SAKEはアメリカの典型的な料理と相性はいいのです」と話す。
日本酒のガイドブック「日本酒ペアリングの基本ルールとコツ」をひもときますと、例えば、牛のステーキには日本酒の濃い純米酒が合うと言っています。
そして、クリーム系のパスタ料理には、フルーティーな吟醸酒が。魚介類を使った洋食には軽やかなスパークリング日本酒をおススメします。
(注)ペアリングとは日本酒と洋食の(相性)のこと。
日本酒には、いろいろなペアリングが考えられます。日本酒と洋食の組み合わせには、正解がありません。
ともあれ、日本酒とは様々なペアリングができる素晴らしいドリンクなのかもしれません。
日本酒ブームは、マーケティングの勝利?
マーケッティングの観点からは、日本酒ブームに関しては、次の3点が言えるようです。
①日本酒の輸出用の味を改良したこと。
②2020年にフランスのソムリエに日本酒の良さを知ってもらうための啓もう活動を行ったこと。現在では、世界に名だたるワインテイスティング大会の多くが、日本酒部門を設けています。
③オーガニック指向の人に日本酒がオーガニックな原料で作られていることをアピ―ルしました。そして「動物性食品を使っていない日本酒はヴィーガンの人にも支持される飲み物であること。
NY発 酒蔵併設の日本酒バーは「どぶろく」も楽しめる?
NYのブルックリンにある日本酒バーは、マンハッタンからは地下鉄に乗って23分の距離。その地に「カトウ・サケ・ワークス」日本酒専門のバーがあり、酒蔵が併設されており、和食の店以外でも、タップから注いだどぶろくや純米酒どの日本酒が楽しめる。
地元のお客さんは「日本酒は、誰でも気軽に飲める点がいい」と言う。
ロンドン発 ロンドンのモダンな料理と日本酒のペアリング(相性)!
ロンドンのイギリスの食材にこだわったモダンブリテッシュスタイルのレストランでは、日本酒と料理を組合わせて提供している。
お客は、ソムリエの説明に熱心に耳を傾ける。
オーナーシェフのジョー・レイカーさんは「日本酒はワインより少し甘味を感じます。この食事は酸味が強いので、とても合うと思います」と話す。日本酒とモダンブリテッシュ料理のペアリングはバッチリのようです。
オークランド発 3つ星レストランにも好評のDen Sake Brewery
オークランドのDen Sake Breweryは、「日本から輸入されるモノよりも力強い切れのある酒質」をめざしているそう。
3つ星レストランのも評価された「Den」です。「ワインドリンカーにもアピールしている」という記事が地元紙に掲載されました。メニューのペアリングにも選ばれたそう、これからが楽しみなDen Sake Breweryです。
まとめ
日本酒ブームは2023年のNYタイムズの記事を待つまでもなく、世界各国で日本酒がブームなっていたようです。
全米には23,000軒もの日本食レストランがあります。日本酒も同じように海外の方々に愛される飲み物になるのでしょうか?
本稿では、ロンドン、NYの日本酒バーとオークランドの3つ星レストラン御用達の日本酒酒蔵などホットな情報もお届けしました。
そして、マーケティングの視点から日本酒ブームを分析しました。
以上、いかがでしたでしょうか?海外に61もの日本酒の酒蔵が立っているなんて、にわかに信じがたいです。2024年12月4日、ユネスコに日本酒が登録され、日本を誇らしく思える日々が続いています。
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